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夏場に急増する硫化水素中毒・酸素欠乏事故「自社でも対策を」と思った今こそ知るべきポイント

営業計画推進部 モス男

営業計画推進部 モス男

最近、硫化水素中毒や酸素欠乏事故のニュースを目にする機会が増えました。
これらの事故はさまざまな業種・施設で発生する可能性があります。
特に夏場は事故が増える傾向があり、今こそ早めの対策が求められます。
今回は、どのような場所で起こりやすく、なぜ夏場に事故が増えるのか?など事故事例も踏まえ、対策方法をご紹介します。

硫化水素中毒・酸素欠乏とは?

硫化水素は、少量の吸引でも頭痛やめまい・吐き気などの中毒症状を引き起こし、高濃度になると呼吸困難や意識喪失、さらに死に至る可能性もある非常に危険なガスです。特に有機物が多く存在する閉鎖空間では硫化水素が滞留しやすく、作業員が気付かないまま中毒が進行する恐れがあります。硫化水素は「腐った卵のような臭い」が特徴ですが、高濃度になると嗅覚が麻痺して臭いを感じにくくなるため、危険を察知しづらいという特性もあります。

酸素濃度の低下による酸素欠乏も大変危険で、意識障害や意識喪失を引き起こし、最悪の場合は死に至ります。

作業員の安全確保のため、硫化水素および酸素濃度の適切な管理が不可欠です。

硫化水素中毒の主な症状
硫化水素濃度 症状等
5ppm程度 不快臭
10 ppm 許容濃度(眼の粘膜の刺激下限界)
20ppm 気管支炎、肺炎、肺水腫
350ppm 生命の危険
700ppm 呼吸麻痺、昏倒、呼吸停止、死亡
酸素欠乏症の主な症状
酸素濃度 症状等
21% 通常の空気の状態
18% 安全限界だが連続換気が必要
16% 頭痛、吐き気
12% 目まい、筋力低下
8% 失神昏倒、7~8分以内に死亡
6% 瞬時に昏倒、呼吸停止、死亡

※出典:厚生労働省WEBサイト「なくそう!酸素欠乏症・硫化水素中毒」

なぜ夏場に事故が増えるの?

夏場に硫化水素中毒・酸素欠乏が増加する主な要因

では、なぜ特に夏場にこれらの事故が増加するのでしょうか。その主な要因は以下の通りです。

① 気温・水温上昇による有機物の分解や腐敗
夏は気温上昇により微生物の活動が活発になることで有機物の分解が促進されたり、水温の上昇により有機物の腐敗が進み、硫化水素の発生量増加および酸素消費量の増加による酸素欠乏が発生しやすい環境となります。

② 密閉空間での換気不足
マンホールやタンクなどの密閉空間では、気温が高い夏場は空気密度が低くなります。一方で、地表やタンク上部の空気は密度が高く重くなり、温かい空気が上昇、冷たい空気か下降する対流が発生しにくくなることで、換気不足が起こりやすい環境となります。

③ 作業員の体調・注意力低下
高温環境下では作業員の集中力が落ち、異常に気付きにくくなることも事故の一因です。

実際に起きている事故例

◆ 下水道施設での硫化水素中毒事故

厚生労働省がまとめた「労働災害事例」では、下水道管の清掃作業中に硫化水素が発生し、作業員が中毒症状を起こして死亡・重症となる事故が毎年発生しています。
(参考:厚生労働省「職場のあんぜんサイト 労働災害事例」事例No.100821

◆ 浄化槽・排水処理施設での酸欠事故

経済産業省の「労働災害統計」によると、浄化槽や排水処理施設の点検・清掃作業中、酸素濃度の低下に気付かず作業を行い、複数名が酸欠で倒れる事故が報告されています。
(参考:厚生労働省「職場のあんぜんサイト 労働災害事例」事例No.100756

従業員の安全のために、今こそ対策を

これらの事故は、どの現場でも起こり得るものです。事故のニュースをきっかけに「自社も対策を」と思った今が、安全体制を見直す絶好のタイミングです。夏場は特にリスクが高まりますので、従業員の安全のために、早めの対策をおすすめします。

【今すぐできる対策のポイント】

  • 密閉空間での作業前には必ずガス検知器で測定を行う
  • こまめな換気と安全な作業手順の徹底
  • 作業員への教育と体調管理の強化
  • 法令や業界ガイドラインを遵守したリスク管理

おすすめのガス検知器

当社では、硫化水素中毒や酸欠の防止に役立つ各種ガス検知器をご提供しています。ぜひお気軽にご相談ください。

オススメ検知器① センサ分離型でタンク等に入る前の事前測定が可能

センサ分離型でタンク等に入る前の事前測定が可能。安全を確認してから作業を行うことができます。

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オススメ検知器②コンパクトな装着型、WBGT値(暑さ指数)表示で熱中症対策も!

労働安全衛生規則の改正により対策が強化された熱中症対策にも役立つWBGT値(暑さ指数)を簡易的に表示する機能を搭載。スマホでガス濃度を確認できるBluetooth搭載タイプも。

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営業計画推進部 モス男

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